深センのローカル世界「城中村」探訪

2023年2月8日

深センには「城中村(ちゃんじょんつん)」という、一種独特の空間があります。

入り口に、城門のようなものがあって、低層5-6階建てのビルが寸分の隙間もなく、立ち並んでいるような場所で、いわゆる一般庶民の下町的空間といった感じです。ちょっとスラムっぽい雰囲気もあります。

ちなみに「城市(ちゃんし)」は、中国語で「都市」のことで、「村」は、村というか町くらいの意味で、「都市の中にある町(村)」くらいの意味になるでしょうか。(参考「城中村」の定義(一番下))

なかは、かなりディープで、中国人の居住区、商店、娯楽施設が、ごちゃごちゃ混在していて、衛生度は悪く、なかには風俗的な場所もあったりしましたが、今ではすっかり影を潜めてしまったようです。

こういった城中村は、都心のど真ん中にあることが多いので、再開発によって、立ち退き命令が出ると、忽然と消えてしまうことも、ままあります。最近では、湖貝村のあたり(東門の東側)が、忽然と更地になりました。

完全なローカル世界なので、日本人には、近寄りがたい場所ではありますが、ちょっと探検?してみるのも社会勉強になるかもしれません。

以下、深センにある「城中村」のうち、自分が知っているものだけ、ご紹介してみます。(もちろん、これ以外にも、いっぱい存在します。)

深センの「城中村」

向西村

向西村(しゃんしーつん)は、羅湖にある、城中村で、海鮮料理屋などの飲食店から、スーパー、サウナ、カラオケなど娯楽施設など、いろいろなものが詰まっている場所です。

また、中の路地に入ると、怪しいマッサージ屋みたいなのが、いっぱいありましたが、今は、どうなっているのかわかりません。香港に割りと近いこともあって、香港人も結構、多いようです。

最寄り駅:地下鉄「向西村」

福田村

自分が中国に来て間もない頃、住んでいたところです。かなりローカル度、高めで、我ながら、よく、こんなところに住んでたなあと思います。

皇岡イミグレからも割りと近く、近年、再開発の対象になっているみたいです。(写真、古くてすいません。昔のタクシーがいっぱい写ってますね。)

最寄り駅:地下鉄「華強南」「赤尾」

皇岗村・水囲

皇岗村、水囲は、香港とのイミグレにも近く、いわゆる香港人が多い場所です。

あと、二号さんが多いことでも有名で、以前は、それっぽいカップルをちらほら見かけることもあり、香港から太太がやってきて、修羅場?と化してしまうこともあったそうです。

しかし、香港デモやコロナ禍を経て、香港からの移動がなくなり、二号さんも霧散してしまい、普通の街になりつつあるようです。

最寄り駅:地下鉄「皇岗村」「福民」

上沙、下沙

福田区の上沙、下沙(しゃんしゃー、しゃーしゃー)あたりは、かつては、かなり巨大でディープな「城中村」空間が広がっていました。

しかし、近年、地下鉄駅付近に、「KKONE」「中洲湾C Future City」といった、商業施設が誕生し、街並みは大きく様変わりしています。(日本からも、ニトリ、蔦屋書店なども進出しています。)

最寄り駅:地下鉄「上沙」「下沙」

沙河村

白石洲の北側一帯の、沙河(しゃーはー)は、個人的にはイケアに行く途中に通るくらいなのですが、ここも、なかなか雑多で、いかにもローカルな世界が広がっています。

最寄り駅:地下鉄「白石洲」

 

以上です。

上記、以外にも、結構、「城中村」は数多く存在しますし、また、城中村とまで呼べない場所でも、道路一つ隔てると、強烈なローカル世界が広がっていたりします。

ただ、城中村も、近年、オリンピックなどのイベントの前後で、不法分子をかなり整理されてしまったということもあり、怪しい店もなくなり、だいぶ、健全になったのではないかと思います。

そのぶん、以前と比較すると、面白みはなくなってしまった感じはありますが、それでも、自分ら外国人からするとかなり異世界なところではあります。

「城中村」の定義(参考)

百度によれば、「城中村」は、以下のような定義となっています。

狭義:城中村とは、農村集落が都市化の過程で、都市建設区の範囲内で耕地を失ったり、基本的に失ったりして、依然として村民自治と農村集団所有制を実行している村を指す。あるいは耕地の全部または大部分が徴用され、農民が住民に転じた後も元の集落に住んでいたことから生まれた居住区であり「都市の村」とも呼ばれている。

広義:城中村とは都市の急速な発展の過程で、時代の発展の歩みに遅れ、現代都市の管理外に遊離し、生活水準が低下している居住区を指す。