【深圳エリアガイド】福田Ⅱ「華強北」 ~変わりゆく電子街の今

最近、中国も、ずいぶんときれいになったなあと思います。ショッピングモール、個人商店を問わず、店の外観も内装も、どんどん洗練され、十数年前と比べると雲泥の差です。

中国でも屈指の電子街として有名な「華強北(ほわちゃんべい)」も、その一つで、かつては、お世辞にも、きれいな街と呼べない、どちらかといえば薄汚い街でしたが、地下鉄の新路線開通に伴い、小奇麗な地下街ができ、ちょっと見ない間に、かなり変わってしまいました。

今回は、そんな華麗に変貌する?電子街「華強北(ほわちゃんべい)」について、紹介してみます。(注意:以下の写真は、コロナ前に撮影したものも混ざっています。)

「華強北」 変わりゆく電子街の今

華強北歩行街

まずは、街の風景から。地下鉄「華強北」駅を地上にでると、このような感じで、広々とした道路が広がっています。

以前あった南北に貫く道路が失くなり、「華強北歩行街」として、歩行者天国化して、随分すっきりした感があります。もちろん、かつてのような怪しい偽DVD売りなども、ほとんど見かけません。

ただ、せっかくホコ天化したわりには、コロナ禍ゆえか、閑散とした印象です。また、管理も厳重で、広場やベンチは柵で囲まれており、PCR検査やワクチン接種のテントばかり、目立っています。

とはいえ、やはり、電子街であることには変わりなく、大通りの両脇には、相変わらず、スマホ関連の店舗が軒を連ねています。手机维修(携帯修理)、苹果(アップル)、分期付款(分割払い)といった文字が見えます。

また、ファーウェイ(華為)、OPPO、シャオミ(小米)といった中国産スマホブランドの店も多いです。

 

また地上には、このような大きな入口がいくつもあり、この下に、地下鉄の駅と地下街があります。(現在、1、2、3、7号線の計4本の地下鉄路線が乗り入れ中)

賽格広場

華強北のランドマークとでもいうべき存在が、この「賽格広場(さいがー・ぐぁんちゃん)」です。

高さ350メートルとこの周辺では、ひときわ高いビルですが、2021年5月、突如、揺れだすという前代未聞の事件を引き起こしたことは、記憶に新しいかもしれません。

その後、100日余り封鎖して調査したあと復活したようですが、本当に大丈夫なのか?不安が残るところです。

ちなみに、中に入ると、一坪ほどのスペースで、携帯電話やパソコンなどの電子部品を売る、卸売り業者のブースが、無数に並んでおり、さながらアリの巣の中にいるような錯覚になります。

華強北には、この「賽格広場」をはじめ、向かいの「華強電子世界」など、同じようなビルが数十箇所もあり、この辺り一帯が、中国屈指の電子街と言われる所以ともなっています。(写真は、華強電子世界)

また、こういった小さなブースから、後々大会社になる業者もあったようで、あのテンセント(腾讯)もまた、この華強北のスモールオフィスから誕生したと聞きます。

 

地下街「乐淘里」

華強北で最も変わったのが、地下かもしれません。地下鉄の新路線開通にともなって、地下街もかなり広がりました。

以下「乐淘里」という地下街は、2010年開業で比較的、以前からあります。華強北を南北に貫く「華強北歩行街」に沿うようにできています。以下、各店舗の様子です。

えび餃子の店(喜家徳)

えび餃子の店。ガラスばりの中で調理していますが、こういうオープンキッチンの店が増えてきました。

古民家風、ドリアンピザ

こういう、古民家風の小洒落たレストランやカフェも増えてきました。その近くには、最近めっきり増えたドリアンピザの店。時々、店頭で、若い店員さんが、客寄せのために、華麗にピザ回しのデモンストレーションをしたりします。

過橋米線

たかが過橋米線(雲南米線)の店に、このクウォリティ?戦国武将の家紋を思わせるようなロゴは、雲南の「雲(云)」をかたどったもの。

「翠華」「味千ラーメン」

おなじみ香港の有名茶餐厅「翠華」と、しぶとく営業を続ける「味千ラーメン」赤と黒で統一された内装がモダンです。

ユニクロ(優衣庫)

ユニクロ(優衣庫/よういーく)も、地下街の一画に入居しています。

ただ現在はコロナ禍にて、地下街の入り口で場所コードをスキャン(健康コードとパスポートで代用可)しなければならないので、ちょっと窮屈な感じです。

茂業百貨

茂業百貨(まおいえ・ばいふぉー)は、1996年年開業。深センの老舗百貨店です。

数年前に外装を一新して、少し垢抜けた感があります。

ここ華強北以外にも、東門と后海、さらには全国に40店舗以上、店舗があるようです。

 

女人世界

海上世界、儿童世界・・・と「○○世界」という名前はよくありますが、「女人世界」は、女性モノの衣類、バック、靴、装飾品などを扱っているビルです。ただ、現在は、コロナ禍ということもあってか閉まっています。

順電

「順電(しゅんでぃえん)」は、いわゆる家電量販店です。日本で言えば、ヤマダ電機とかそんなところでしょうか。

かつては、この順電をはじめ、国美、蘇寧といった家電量販店が隆盛を誇っていましたが、アリババや京東(JD)などECサイトに押されて、こういった実店舗販売の存在感は確実に薄くなりました。

振兴路

茂業百貨の北側、華強北を東西に貫く、振兴路(じぇんしんるー)は、「食街」としても知られ、深セン十大食街の一つとも言われています。

東の燕南路から西の華富路まで、約一キロにわたって、いろんなジャンルのレストランが立ち並んでいます。

ただ、はっきりとした街という感じではなく、言われてみればレストラン多いかも程度かもしれません。

上海宾馆

上海宾馆(上海ホテル)は、華強北の西の外れにある建物で、開業は1985年と、深センの中ではかなり古くから存在する建物です。

規模こそ小さいものの、かつては、上海ホテルまでが深セン市内で、ここから先が深セン市外といわれていた時代もあったようです。

また、地下鉄に乗っているとわかりませんが、このあたりは、バスの一大ターミナルになっていて、深セン各地に出発するバスの一大拠点ともなっています。

あとがき

以上、華強北ですが、まだコロナ禍(2022年5月現在)ということもあり、閑散としていました。以前は、もっと熱気溢れる街だったように思うのですが、ちょっと寂しい気がします。

あと、華強北といえば、かつては、怪しいバイヤーとか、あの猥雑な雰囲気も含めて「らしさ」があったと思うのですが、そういう昔の中国のワイルドさというか猥雑感がどんどん失くなって、当たり前の街になってしまうというのは、何だか寂しい気がしないでもないですね。

ただ、それは以前の中国を知る外国人からみた感傷にすぎないのでしょう。秋葉原が、電子街から、サブカルオタク街に変貌したように、時代とともに、街も変わらざるをえないのだと思います。

華強北 ロケーション

1号線「華強路」駅、2号線・3号線・7号線「華強北」駅下車すぐ