残念感半端ない?中国ローカルパン(面包)の世界【食パン・サンドイッチ・菓子パン】

2021年5月12日

以前、中国のベーカリーのことを紹介したかと思いますが、食パン・サンドイッチ・菓子パンなど、スーパーに置いてあるような、いわゆるフツーのパンについても、日本とはかなり状況が異なります。

以下、中国のパン(面包/みぇんぱお)について、紹介してみたいと思います。

中国の「食パン」  品質は上がっているが・・・

まずは食パンです。

食パンは、以前にくらべれば、確実に種類も増え、品質も上がっています。ただ、柔らかすぎたり、甘すぎたりするものも多く、日本人の味覚にしっくりくるものは少ないように思います。

しかも、値段的にも、8-10元(120-160円程度)と、別に安いというわけでもありません。

逆に日本に一時帰国すると、スーパーの特売で100円で売っているものもあり、お値打ち感があるように思うのは、自分だけではないと思います。

ちなみに、食パンは一般に「方包」あるいは「吐司」と書きます。(「方包」は、方形のパン(面包)の意味で「吐司」はトーストの音訳。)

八枚切りしかない?中国の食パン

また、中国の食パンで決定的にダメダメなのが、8枚切りしか無いというところでしょうか。4枚切りはおろか、5枚切り、6枚切りも見かけません。

要するに、サンドイッチ用のペラペラパンしかないということです。これでは、トーストすると、カリカリになってしまい、まともなバタートーストを口にすることもできません。

かといって中国人が、サンドイッチをほうばっている姿は、なかなか想像できず、いったいどうやって食べているのか不思議です。

ちなみに「何故、8枚切りしかないのか?」ですが、中国人の数字に対するこだわりが大きいのではないかと、勝手に想像しています。彼らにとって「」は最も縁起の良い数字で、中国人の「八」へのこだわりは尋常ではありません。逆に、四枚切りのパンが無いのは「」が「死」に通じるので、縁起が悪いということで説明もつきます。

中国の「サンドイッチ」  微妙?終わってる?

中国のパンの中で一番、ダメダメなのが、サンドイッチ(三明治、三文治)ではないでしょうか。

個人的には、いまだかつて、まともなサンドイッチを食べた記憶がなく、甘すぎるとか、マヨネーズが過剰とか、微妙なサンドイッチがあとをたたない状況です。(写真は、ストロベリーサンドイッチ、むしろお菓子の領域に近いかも)

なぜ、このような惨憺たる状況になっているのか?ですが、主には、流通の問題で、日本のコンビニで普通に売っているようなサンドイッチは、ああみえて、鮮度を保つのが大変なのだと思います。

ちなみに、茶餐厅なんかでは、普通に「クラブサンド(公司三文治)」など、惣菜系のサンドイッチがでてくるので、作れないわけではないと思います。

あと、サンドイッチというジャンル自体、中国の食文化と合わないという面もあるのかもしれません。

中国では、もともと医食同源という発想があり、冷えたものは体にわるいという考えがあり、冷えたものを食べたがらないということがありますので、サンドイッチは、中国では分が悪いというか、そもそも、ジャンルとして、成立しにくいのかも知れません。(サブウェイ(赛百味)も人気はないようですし・・・)

中国の「菓子パン」  残念感は否めず・・

菓子パンも、積極的に食べたいと思うようなパンはないというのが現状かと思います。やはり、日本の菓子パンと比較してしまうと、残念感は否めないところでしょう。以下、パンコーナーでよくみかけるものについて、紹介してみます。

肉松包 

中国ローカルパンの筆頭ともいえるのが「肉松包(ロウソンバオ)」ではないかと思います。パン生地の上に、もじゃもじゃしたもの(肉松)が載っかっているのが特徴。自分はコレが苦手なのですが、不思議な事に、中国人は、この味付けが大好きなようで、どこのパン屋でもこれを売っています。

ちなみに、以前、中国人に昼ごはんに、何かパンを買ってきてもらうように頼んだところ、コレを買ってきてくれたときの、がっかり感は例えようもありません。

毛虫パン(毛毛虫) 

毛虫パン(毛毛虫/マオマオチョン)はキャタピラーのような形状が特徴。

ネーミングといい、形状といい、日本ではありえないようなパンですが、中身はいたって普通のパンなので、ご心配は無用です。

 

クロワッサン(牛角包) 牛の角のパン「牛角包(にうじゃおぱお)」はクロワッサンのこと。

レーズンパン(提子包) 「提子包(ティーズバオ)」は、レーズンパンのことですが、音訳?なのだろうか。今ひとつ意味不明、

紫イモパン(紫薯卷)  こちらには、皮だけでなく中まで紫色という紫イモというイモがあり、紫イモジュース、紫イモパイ、紫イモクッキーなど、いろいろな食品に応用されています。

スイスロール(瑞士卷)  パンではないですが、パンコーナーに並んでいることが多いです。ただ、日本のロールケーキのようなものを、想像して口に入れると、肩透かしを食らうかもしれません。

どら焼き(铜锣烧)  一応、どら焼きの形はしていますが、中身はあんこですら無い場合もあり、想像していたものと全然、違ったりします。がっかり感、半端ない商品の一つといってもいいでしょう。

オススメの中国パンメーカー

中国のスーパーに置いてあるパンについては、日本と比較すると、どうしても、残念感は否めないところです。しかしながら、それでも、そこそこのレベルのパンを製造してくれているメーカーもあります。以下の2つのメーカーのパンは、日本人でもそこそこ食べられるレベルだと思います。

ガーデン(嘉顿)

ガーデン(嘉顿/ジャードゥン)は香港の老舗パンメーカーで、昔ながらの食パンの食感があり、甘くなく、食べ飽きない感じがあります。

「嘉顿(ガーデン)」

個人的には、ここの食パンの8枚切りを二枚重ねて、四枚切りとしてバタートーストにして食べています。(香港には、5枚切り、6枚切りもあるようです)

菓子パン、提子包(ティーズバオ)なども、まあまあ食べられます。

桃李(たおりー)

桃李(たおりー)は、中国ローカルのパンメーカーですが、日本の山崎パンや敷島パンのコピーみたいなパンを生産しています。

ミニアンパン(迷豆沙包)やどら焼き(铜锣烧)など、日本のパンにかなり近い食感となっています。

まだまだ、日本と同じ水準というわけにはいきませんが、こういうパンが出てきたと言うだけでも、歓迎すべきことだと個人的には思っています。

桃李のパンコーナー